福岡起業の基礎知識

財務管理のための農業簿記

農業簿記

○財務管理

農業経営に必要な資金調達・運用、予算や原価計算など、会計数字に基づいて経営運営を行うことが財務管理

です。畜産・施設園芸・大規模稲作農家など、動かす資金や投資額が大きくなればなるほど

経営運営において重要な分野になります。

具体的には、複式簿記記帳により、「貸借対照表」(一定時点における財務状態)と「損益計算

書」(一定期間における経営成績)などの財務諸表を作成し、財務分析を行い、計画を立案し、実

践しながら予算管理を行います。

○財務管理の目的

農業経営管理を適切に実施していく上で最も基礎となるのが「財務管理」であり、資本をうまく調達し、効率的に運用するこ

とによって、経営目標を達成することが目的です。農業経営を安定的に継続していくために不可欠な管理であるといえます。

 

複式簿記

 

簿記の方式には、単式簿記と複式簿記の2種類があります。

複式簿記は正規の簿記ともいわれ、原因と結果の二つの面からとらえて記入するため、日々の取引内

容を正しく把握することができます。

例えば、農業用肥料を現金で購入すると肥料費という費用

が発生(原因)し、同時に資産である現金が減少(結果)します。

(肥料費)100,000円 (現金)100,000円

農業経営の成績をあらわす損益計算書と財政状態をあらわす貸借対照表にまとめられます。

損益計算書は、経営成果として収益性と生産性の

分析を行なうことができます。また、貸借対照表は、財産の動きから経営の安全性を判断すること

ができます。

 

勘定科目について

 

簿記における記録及び計算の単位を勘定といい、各勘定の内容を表す名前を勘定科目といいます。

例えば、勘定科目としては下記のものがあります。

(資産)

現金、預金、売掛金、農産物、肥料、農薬、未成園、土地、建物、構築物、機械装置

車両運搬具、工具器具備品、成園、繁殖牛、出資金

(負債)

買掛金、未払金、借入金、預り金、前受金

(資本金)

元入金

(収益)

農産物売上高、家事消費、雑収入

(費用)

種苗費、肥料費、農薬費、動力光熱費、農具費、諸材料費、修繕費、減価償却費、販売費

 

勘定科目の設定

まず、一度設定したら、みだりに変更しないことが勘定科目設定で重要です。勘定科目を通して、事業年度間の成績変化の流れを見るため、年次間の比較が必要になります。勘定科目を変更すると、流れの比較が難しくなります。

また、細かく分類しないようにしましょう。勘定科目を細分化しすぎると、入力するのに多大な労力を必要としてしまします。一方、大雑把に一括しすぎると経営の検討に不便になってしまいます。ただし、費用と収益、債権と債務とを同一科目にまとめないようにしましょう。例えば、支払利息と受取利息を利息勘定に、また受取手形と支払手形を手形勘定にまとめてしまうと、費用と収益、債務と債権が相殺され正確な財政状態が分からなくなってしまいます。

さらに、科目はその経営の特性に応じて、個別に設定するのが原則。勘定科目は、それぞれの経営の特性を踏まえて設定しましょう。農業生産法人においてグループ単位で活動している場合には、経営診断、特にグループ間の横断的比較のために、なるべく科目(及び勘定処理法)を統一した方が指導性も向上します。

そして、、経営分析用に、勘定科目を分類整理しておくのも有用です。例えば、気になる重要な費用科目については敢えて一括にせず、生産原価・販売費及び一般管理費・事業外費用に区分する。

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